事例
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時間外労働が長時間にわたって続いていたにも関わらず、残業手当が一部しか支給されず退職後に未払い残業代を請求、労働審判でスムーズに和解解決できた事案

解説弁護士:
谷 靖介
ご依頼者 | S.Tさま、S.Kさま |
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性別 | 男性 |
業種 | サービス業 |
役職 | なし |
年齢 | 20歳代 |
受任年 | 2018年 |
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解決年 | 2019年 |
解決方法 | 労働審判 |
1日の平均残業時間 | 約5時間 |
回収金額(2名分) | 500万円 |
事例の概要
相談者のお二人は、事業所外での外回りが多い業務を担当されていました。
業務多忙と人員配置の問題から、お二人とも時間外労働・休日労働を長時間にわたってされており、繁忙期は残業時間が月100時間を超えることもありました。
しかし、会社からは残業手当が一部しか支払われず、適切な残業代が支払われていませんでした。
解決のポイント(弁護士の視点・解決アドバイス)
POINT
相談者様は、これまで会社の就業規則や賃金規定をみたことがなく、どのように残業代に関する規定があるのか全く把握されていませんでした。また、会社からは一定の残業手当以外に残業代はないと説明されていたとのことでした。
相談者様の業務内容からすると、営業所外での業務も多いことから、事業場外みなし労働時間制が採用されている可能性があるのではないか、また固定残業代に関する定めが置かれているのではないかと思われました。
交渉の経過(受任から交渉、解決までの概要)
ご依頼者様の退職後、本格的に業務に着手していきました。
まずは、相手方会社に対し、残業代を請求する通知を送り、タイムカードや就業規則等の関係資料の開示を求めました。
その後、相手方に代理人が就任し、関係資料の開示を受けることができました。そして、就業規則等を確認したところ、やはり事業場外みなし労働時間制に関する規定が置かれており、固定残業代に関する規定が置かれていました。
もっとも、事業場外みなし労働時間制を適用するには、本当に労働者の労働時間を把握することが困難といえるのか厳格にチェックする必要があります。
本件では、外出するスケジュールを会社が管理しており、外出先でも携帯電話等で業務状況を報告するなどの実態から、みなし労働時間制の適用は困難と思われました。
また、固定残業代についても、残業時間の実態からかい離した金額しか支払われておらず、残業代として有効であるのかについても疑問がありました。
当事務所が関わった結果(解決のポイント)
まずは、開示されたタイムカードをもとに最大限ご依頼者様に有利になるように、残業代計算を行います。その上で、事業場外みなし労働時間制の問題点や固定残業代の問題点を指摘して相手方代理人と交渉を行いました。
この点、固定残業代にはいくつかパターンがあります。支給のされ方や名目等から他の給与と区別されうるのかによって、残業代の支払いとして有効なのかについて見通しも変わってきます。固定残業代の有効性に関しては事件ごとに事情が異なるため、個別に弁護士に分析してもらうのがよいでしょう。
本件では、交渉段階ではスムーズな進展が見込めなかったため、ご依頼者様と協議し、労働審判を行うことにしました。
労働審判は少ない期日で早期解決を図りやすいメリットもありますが、綿密な証拠調べを要する場合には向きにくい、最終的な解決にならないこともあるなどのデメリットもあります。
訴訟も労働審判も裁判所を介した手続きではありますが、それぞれ手続きの特性があり、どのような手続き選択がよいのかは、事案やご依頼者様の希望を踏まえて事案ごとに検討する必要があります。もしどちらの手続きがよいのかお悩みの場合は、弁護士に相談されるのがよろしいでしょう。
労働審判では決着がつかないことも懸念されましたが、本件では、幸いにして第1回目の期日にて和解解決をすることができました。
争点に関する裁判所側から率直に明快な説明をいただけたことも早期の解決に役立ったかと思います。
依頼者様からのコメント
この度は色々と力になってくださり有難うございました。本当に助かりました。
もしまた何かありましたらご相談したいと思います。その時はどうぞよろしくお願いします。
なにも知らずに諦めたり損することはありません。
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