管理監督者である場合には、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けないため、原則として残業代は発生しません。
しかし、管理監督者であるかどうかは、①経営者から一定の権限を与えられている(経営者と一体的な立場で仕事をしている)、②勤務時間について厳格な制限がない、③その地位にふさわしい待遇がなされている、かどうかで判断されます。Aさんは、これらに該当しないことが弁護士から見て明らかでした。そのため書面でしっかりと反論しました。
Aさんは夜遅くまで開いている飲食店の料理長。22時以降の深夜勤務や休日労働に関して「料理長は管理監督者だから残業代は支払わない」と言われていましたが、法律上ではAさんの勤務形態では管理監督者には該当せず、残業代の支払いを受けられる立場にありました。
在職中は我慢して働いていたAさんですが、会社から勤務先の店舗の閉鎖にともなう強引な退職勧奨を受けたことからリーガルプラスにご相談に来られました。

リーガルプラスの無料相談では、弁護士が直接お話をうかがいます。
Aさんは退職後にご相談に来られましたが、未払い残業代請求は在職中でも退職後でも可能です。
勤務状況や残業代回収のご希望をうかがい、状況に応じたアドバイスを行っていきます。
個人である従業員と組織である会社の交渉では、その力関係から従業員の方は不利になりがちです。
状況を整理して、法律的に権利を主張できるかどうかを検証し、根本的な解決のためのアドバイスを弁護士が無料で行います。

弁護士と直接話をするなかで、一つひとつ疑問を晴らすうちにAさんは残業代請求の意思を固められました。
その日のうちに弁護士費用をお伝えし、後日正式にご依頼いただきました。

委任後、弁護士が勤務先との窓口となって勤務先と交渉を行います。
依頼者の方には安心して、普段通りの生活を過ごしていただけます。
Aさんの職場ではタイムカードで出退勤を記録していました。
しかし実態は、店長が出退勤の際に、全従業員のタイムカードをまとめて打刻するというものでした。
そのため、Aさんの実際の出退勤時刻とタイムカードは噛み合っていませんでした。
Aさんの場合は、日々ご家族とメールのやりとりがありました。これをもとにして、出退勤の履歴を補完するかたちで残業の証拠とし、会社側に主張していきました。
会社が勤怠管理をおこなっていない場合には、周辺の記録(メール・ICカードの履歴等)で勤務状況を証明し残業代を計算することがあります。

Aさんは会社都合による強引な退職勧奨で退職しましたが、離職票には「自己都合」と書かれていました。
失業手当の給付は自己都合で退職すると、会社都合に比べて3か月遅れます。
転職先も決まっていなかったため、早急に生活費として失業手当を受け取る必要がありました。
ハローワーク宛に弁護士名で「Aさんの退職は会社都合であること」を書面にて送付しました。
慎重に判断された結果「自己都合」から「会社都合」へと離職理由が変更となり、失業給付の早期受領が実現しました。

退職手続きの問題が解決したため、残業代の支払いを求める書面を速やかに作成して内容証明郵便で送付しました。
内容証明郵便を受け取った会社側にも代理人として弁護士がつきました。

Aさんの元勤務先に対して、期限を設けて残業代の支払いを求める書面を作成し、内容証明郵便を送付したところ、会社側にも代理人として弁護士がつきました。こちらの要求に対して、会社側からは最初にAさんが言われたとおり「料理長は管理監督者であり、残業代の支払い義務がない」という反論がありました。
弁護士の依頼メリットは、あなたの想いを「法律的に通る主張」に変換して、交渉をしてくれることです。個人対企業では、のらりくらりとかわされてしまう状況でも、弁護士が「法律論」をもって主張することで、企業は社会的にも逃げることが難しくなります。
残業代の支払いに期限を設けて、期日までに支払われない場合は「労働審判」や「訴訟手続き」に移行することを会社側に通知しました。
訴訟になった場合、公開が原則となるため、残業代問題が起きていることが社会に知られ、会社の評価が下がる恐れがあります。
また、会社としては他の従業員からの「残業代請求の連鎖」のリスクもあるため、訴訟を避けて支払いに応じる姿勢が望める場合もあります。
弁護士だからこそできる交渉術を使い、解決に向けた活動を行います。

口頭で交渉をすると、あとから「言った」「言ってない」ということになりがちです。そういった無駄なトラブルを避けるため、基本的に書面を作成して会社側とやりとりを行います。
時間をかけて練ることができるのはメリットですが、反面、時間がかかることは書面での交渉のデメリット。
その点を踏まえて、最大限に交渉を前進させられるよう、いかに相手方に有効な主張をするのかが弁護士の腕の見せどころとなります。
交渉を続けた結果、会社側は「Aさんは管理監督者ではなく、残業代の支払い義務がある」ということを認めました。ご依頼いただいてから5か月での解決となりました。
きちんと支払いがなされるよう、またAさんにとって不利な内容が盛り込まれていないかをしっかり確認したうえで和解書を取り交わしました。


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