歩合制
自分の業績が良ければ給与も上がり、悪ければ給与も下がる成功報酬型の歩合制。歩合制だから残業代は発生しないように思えますが、そんなことはありません。歩合制の働き方、残業代の発生の仕組みについて解説します。
歩合制とは

● 歩合制は変動給制、または成果報酬型ともいい、従業員の業績や成果によって給与額が決まる制度です。
● 歩合制には「固定給+歩合給」、「完全歩合制(フルコミッション制)」の2種類があります。
● 「固定給+歩合給」の場合はあらかじめ決まっている固定給に加えて、成果に応じて歩合給が支払われます。
● 「完全歩合制」の場合は給与のすべてが自分の業績によって決まるので、業績が悪いと最悪支払われません。
● 従業員である場合、賃金の最低保障がなされないため完全歩合制は労働基準法違反となり、適用できません。
● 完全歩合制は個人事業主が企業と契約を結ぶ場合に採用することができます。
歩合制が多く採用されている業界

歩合制は業績の良し悪しで給与が決まるため、仕事の成果を数字などの目に見えるカタチで評価できる職種に向いています。 ※保険や不動産業界・自動車販売・美容業界・タクシー
歩合給でも残業代は発生する

歩合制であっても、時間外労働や休日労働、深夜労働の考え方は他の給与形態と代わりません。したがって、歩合制でもそれらの労働が行われていた場合、割増賃金が発生します。 歩合給部分と残業代が明確に区別されておらず、残業代に時間外労働などの割増率が加算されていなければ、残業代を請求することができます。

- 歩合給の残業代の計算方法
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歩合制の場合は、歩合給の額を総労働時間数で割って、1時間あたりの賃金を計算します。
時間給÷総労働時間=1時間あたりの歩合給
1時間あたりの歩合給×0.25=1時間あたりの歩合給の割増賃金
1時間あたりの歩合給の割増賃金×残業時間数=歩合給の残業代の金額
「0.25」である理由
歩合制の場合、時間外労働に対する1時間あたりの基礎賃金は既に給与総額に含まれているため、支払うべき残業代は時間単価の125%ではなく25%で足りるとされています。
この数字は労働基準法で定められた時間外労働に対する割増率の最低基準であるため、おおまかな残業代を計算する際に使用します。
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