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残業代請求

残業代における割増賃金の仕組みと割増率の計算方法とは?2019.09.24

「残業代」を検索などで調べていくと、かなりの確率で「割増賃金」という言葉に行き着くと思いますが、漢字の意味や言葉のイメージから、従業員が残業すると、「会社は通常の給料に上乗せして賃金を支払わなければいけない」といった雰囲気で捉えられるのかもしれません。ここでは、割増賃金とはそもそも何なのか、割増賃金とはどういった仕組みでどのように計算するのかを解説します。

残業代の仕組みにおける割増賃金とは?

残業代(割増賃金)について理解を深めるため、ここでは残業代が発生する仕組みについてみていきましょう。

残業代が発生する仕組み

使用者は、労働者に法定時間外労働・法定休日労働・深夜労働をさせた場合には割増賃金(わりましちんぎん)を支払わなければなりません。

割増賃金とは、1時間当たりの賃金に残業種別ごとの割増率と残業時間数を掛けて計算される残業代のことです。

割増賃金の計算の際には、まず1時間あたりの賃金を算出します。1時間あたりの賃金は、1カ月の基礎賃金を1カ月の所定労働時間で除した金額になります。基礎賃金は基本給の他、職務手当等を加えたものです。家族手当や通勤手当等、基礎賃金に含めないものもありますのでご注意ください。

1カ月の所定労働時間数について、月給制の場合で月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月平均所定労働時間数で計算します。たとえば、1日8時間勤務、週40時間勤務の場合、1カ月の所定労働時間数は173.8時間(≒365日÷7日×40時間÷12か月)となります。

1時間あたりの賃金に掛ける割増率は、法定時間外労働の場合25%以上、法定休日労働は35%以上、深夜労働は25%以上です。法定時間外労働・休日労働に深夜労働が重なった場合にはそれぞれの割増率(25%以上・35%以上)に深夜労働の割増率(25%以上)を加えて計算します。

時間外労働とは

時間外労働には、「法定時間外労働」「法定時間内労働」があります。

法定時間外労働とは、1日8時間または週40時間の法定労働時間を超える労働をいい、割増率25%以上の賃金対象となります。

それに対し、法定時間内労働は、1日の所定労働時間が8時間未満であり、所定労働時間を超えるものの1日8時間未満かつ週40時間未満の労働をいいます。法定時間内労働については1時間あたりの賃金をもとに計算され、割増率は付加されません。

例として、勤務時間が9時から17時、昼休憩が1時間(所定労働時間7時間)の方で、1時間あたりの賃金が1,000円の場合で見てましょう。

この方が20時まで3時間残業した場合、17時から18時には法定時間内労働として1,000円の残業代が発生し、18時から20時には法定時間外労働として1時間当たり1,250円、2時間分の2,500円の残業代が発生します。

法定休日労働とは

法定休日労働とは、1週1日又は4週4日の法定休日における労働をいいます。35%以上の割増賃金の対象になります。

週休2日制など週に1日以上の休日が定められている場合、法定休日は1日のみです。それ以外の休日は法定外休日なので、法定外休日における労働は、法定休日労働(割増率35%以上)ではなく、1日8時間又は週40時間を超える場合のみ法定時間外労働(割増率25%以上)として計算されます。

では、法定休日を振り替えて代休をとる場合、どうなるでしょうか。

法定休日を事前に別の日に振り替えた場合(いわゆる「振替休日」)、もともと法定休日であった日に労働したとしても法定休日労働ではなくなるので、35%以上の割増賃金の対象にはなりません。

それに対し、法定休日を事後に別日に振り替えた場合(いわゆる「代休」)、すでに法定休日労働をしていることに変わりありません。そのため、法定休日労働となり、35%以上の割増賃金の対象です。代休を事後に付与したとしても変わりません。

深夜労働とは

深夜労働とは、午後10時から午前5時の労働をいいます。割増率は25%以上です。

深夜労働の場合、法定時間外労働や法定休日労働の割増率に重ねて計算をします。つまり、法定時間外労働かつ深夜労働の場合、割増率は50%以上(法定時間外労働25%以上+深夜労働25%以上)となります。また、法定休日労働かつ深夜労働の場合、割増率は60%以上(法定休日労働35%以上+深夜労働25%以上)です。

時間外労働・法定休日労働・深夜労働の割増率

ここまで見てきたように、残業代計算の際、それぞれの残業の種別ごとに割増率が異なります。

法定時間外労働の割増率は25%以上、法定休日労働は35%以上、深夜労働は25%以上です。

また、法定時間外労働かつ深夜労働の場合、割増率は50%以上(法定時間外労働25%以上+深夜労働25%以上)となります。法定休日労働かつ深夜労働の場合、割増率は60%以上(法定休日労働35%以上+深夜労働25%以上)です。

大企業の定義

残業代計算において、大企業と中小企業では異なる点があります。そのため、ご自身の勤務先が大企業であるか、中小企業であるかをご確認ください。

大企業とは、下の図の中小企業以外の企業をいいます。例えば、製造業であれば資本金または出資金が3億円を超えるか、常時使用する従業員数が301人以上の企業を大企業といいます。

業種の分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

出典:中小企業者の定義(中小企業庁)https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

大企業の割増率

大企業では、労働者に月60時間を超えた法定時間外労働をさせた場合、60時間を超えた部分について1時間当たりの賃金に50%以上の割増率を加えた割増賃金を支払わなければなりません。

また、月60時間を超えた労働であり、かつ深夜労働であった場合には、深夜労働の割増率(25%以上)を重ねて割増率75%以上で計算します。

中小企業の割増率

中小企業については、現行では大企業と同様の割増率の適用を猶予されています。つまり、月60時間を超える労働について割増率50%以上を加えず計算することとなります。

もっとも、2023年4月1日からは、中小企業も大企業と同様に月60時間を超える労働について同様の運用がなされることが決定しています。

割増賃金の計算方法

具体的な事例をもとに検討してみましょう。

【例】
Aさんは土日祝日がお休みの会社で、平日(月〜金)は10時〜19時定時(お昼休憩1時間)の勤務、月給は30万円で通勤手当が毎月1万円、住宅手当が3万円含まれています。平均して毎月22日勤務しています。法定休日は日曜日です。
1時間あたりの賃金の計算

まず、1時間当たりの賃金を計算します。

給与明細の項目のうち、基本給・職務手当・能力給・営業手当・役付手当・皆勤手当等の金額を足します。このとき、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・臨時の賃金・賞与・住居手当等は含みません。どの手当が含まれ、どの手当が含まれないかについては、やや複雑な問題になりますので、正確に知りたい方は弁護士に相談してください。

Aさんの場合、月給30万円に通勤手当1万円と住宅手当3万円が含まれていますので、1時間当たりの賃金を計算する際には除外します。Aさんの1カ月の基礎賃金は26万円です。

次に、基礎賃金を月の所定労働時間で除します。

Aさんの場合、1日8時間、週40時間勤務し、月ごとに勤務日数が異なっていますので1年間における1月平均所定労働時間数を求める必要がありますが、上記の例では1月平均22日勤務していますから、月の所定労働時間は176時間(=8時間×22日)となります。

そうすると、Aさんの1時間当たりの賃金は約1,477円(=26万円÷176時間)です。

割増賃金の計算

Aさんが法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働などをした場合には1時間当たり以下の割増賃金が発生します。

  • 法定時間外労働(割増率25%以上):約1,846円(=1,477円×1.25)
  • 法定休日労働(割増率35%以上):約1,994円(=1,477円×1.35)
  • 深夜労働(割増率25%以上):約1,846円(1,477円×1.25)

では、Aさんが毎日残業が2時間(1月合計44時間)、1日だけ土曜日に出勤し、10時〜深夜24時まで勤務した場合の1カ月の割増賃金を計算しましょう。

毎日2時間残業(21時まで)した分の割増賃金
1,477円×1.25×2時間×22日=8万1,235円
1日だけ土曜出勤(10時から24時)・した分の割増賃金
10時から22時の労働に対する割増賃金は、週40時間を超える法定時間外労働ですから、1,477円×1.25×12時間=2万2,155円です。
22時から24時の労働に対する割増賃金は、法定時間外労働かつ深夜労働ですから、1,477円×1.5×2時間=4,431円です。
したがって、Aさんの土曜日の割増賃金は2万2,155円+4,431円=2万6,586円です。

以上から、Aさんのこの月の割増賃金は10万7,821円です。

まとめ

このように、残業代請求・割増賃金の計算においては細かな計算が必要になり、自分で計算すると手間がかかります。また、基礎賃金に含める手当を区別する必要もあります。そのような場合には弁護士にご相談いただければ、法律知識に基づいた正確な個別計算・検討が可能となり、手間もかかりません。お気軽にご相談ください。

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